りんみか

任意のテキスト

任意のテキスト

プロフィール

ふいに頭の上に手がのせられそしてまた行ってしまったわたしは小さい頃のことを思い出していた。いままでにいくつあったかおそらくいくつもないだろうそっと置かれ黙ってそのまま過ぎていく大きな柔らかい手のひら。何かいいことがあったのだろうほめられるとほめたくなってしまうらしい。しかし手は軽く風のように失われやすいそれならばふいの歓びはどこから。生きているひとよりもういないひとの方がはるかに多いということわたしはそこに向こうからはみ出してくる花びらを感じる。手はそこからとだえてもそこから。もうない手の感触を誰もが誰かにつたえることでそれを体に刻み込もうとする。手は降りてきていってしまう手は生まれいってしまうもらったらあげてしまう。頭の上に手がのせられすぐにいってしまうわたしは下を向いて何かしていた顔をあげそれからまたクレヨンの巻き紙をはがし始める。
(片山令子「過ぎてゆく手とそのささやき」)

経歴

ふいに頭の上に手がのせられそしてまた行ってしまったわたしは小さい頃のことを思い出していた。いままでにいくつあったかおそらくいくつもないだろうそっと置かれ黙ってそのまま過ぎていく大きな柔らかい手のひら。何かいいことがあったのだろうほめられるとほめたくなってしまうらしい。しかし手は軽く風のように失われやすいそれならばふいの歓びはどこから。生きているひとよりもういないひとの方がはるかに多いということわたしはそこに向こうからはみ出してくる花びらを感じる。手はそこからとだえてもそこから。もうない手の感触を誰もが誰かにつたえることでそれを体に刻み込もうとする。手は降りてきていってしまう手は生まれいってしまうもらったらあげてしまう。頭の上に手がのせられすぐにいってしまうわたしは下を向いて何かしていた顔をあげそれからまたクレヨンの巻き紙をはがし始める。
(片山令子「過ぎてゆく手とそのささやき」)


© (任意のコピーライト) - BALAMOLDPAL 2026